顧客とのコミュニケーション手段として、メルマガの発行は定番施策の一つとなっています。では、顧客のニーズにあった情報を適切に届けられているかと言うとどうでしょうか?
ある調査では、メールを受け取る側にとって「自分のためにカスタマイズされていない情報は送らないでほしい」という声が多数であるとの報告がされています。自分が欲しかった商品の紹介や興味のあるコンテンツであれば、ついついメールをクリックしてしまうでしょう。
カスタマイズされた内容のメールは受信者への配慮と訴求力があり、結果的にWebサイトへの流入や収益向上といった効果が期待できます。
そこで今回は、一人ひとりのカスタマイズに効果的な、レコメンド情報を利用したレコメンドメールについてご紹介します。

One to Oneのレコメンドメールとは
One to Oneのメールとは、全員に同一内容を送る一斉配信メールと違い、顧客一人ひとりの属性や趣味・嗜好、行動履歴などに応じて作成されたメールです。最適なコンテンツにパーソナライズされ、顧客が必要とするタイミングで届けるメールということから、「パーソナライズドメール」とも呼ばれています。パーソナライズされることで、顧客の満足度やコミュニケーションの品質向上にもつながります。
一方で、パーソナライズ(One to One)を実現するには、ニーズや属性が変化していく顧客にあわせたコンテンツを常に準備しておかなければなりません。さらにターゲットとなる顧客が異なる場合、複数のコンテンツを作成しておく必要があります。
複数のメールコンテンツを同時に作成し、顧客情報を常にアップデートするのは大変な負荷と時間がかかります。個人の名前を差し込むだけになりがちなOne to Oneメールを、レコメンドメールを利用することで解消できるかもしれません。
レコメンドメールは、Webサイトでのレコメンド表示と同様に、閲覧・購買履歴から一人ひとりの興味・関心にあわせた商品やサービスを自動抽出し、メールのテンプレートに差し込んでメールを配信します。レコメンドでは顧客にあわせたコンテンツを自動で作成・配信できるので、多くのターゲットに対しても、きめ細かいメールを一斉に送ることができます。
代表的なレコメンドアルゴリズムの種類
レコメンドメールに利用されるレコメンドアルゴリズムには様々な種類があり、利用する状況に適したものを選択する必要があります。ここではレコメンドメールに利用される代表的なレコメンドアルゴリズムを紹介します。
パーソナル
閲覧・購入履歴をもとに、顧客1人ひとりの興味・関心から導いた商品をレコメンドします。「あなたにおすすめの商品」として提示します。
リマインド
顧客が直近で見た情報をもとに、商品のリマインド情報をレコメンドします。「あなたが最近チェックした商品」といったレコメンドに利用できます。
ランキング
閲覧・購入履歴をもとにランキング情報をレコメンドします。「昨日の人気商品TOP10」や「ウィークリーアクセスランキング」といったレコメンドとして利用できます。
かご落ち
商品をカゴに入れた情報や購入履歴をもとに、特定の商品や、類似する商品をレコメンドします。例えば「お買い忘れの商品はありませんか?」といったカート投入商品のリマインドとして、また「こちらの商品もおすすめです」とカート投入商品と相関のある商品をお薦めするレコメンドとして利用されます。
クロスセル
顧客が購入あるいは興味を持った対象商品と併売率の高い商品をレコメンドします。例えば、「この商品を買った人はこんな商品も買っています」「こんな商品も一緒に購入すると便利です」といった、ある商品を購入した人がよく一緒に購入する商品や関連ニーズに対応するクロスセルとして利用できます。
レコメンドメールで効果をあげるために
レコメンドメールの効果を最大化するためには、顧客(受信者)にとって最適なコンテンツにすることが大切です。たとえ顧客が興味のある商品であっても、適切なタイミングで、ストレスを与えずに「気づき」や「満足」を届けられなければ、レコメンドメールの威力が発揮できません。では実際に、効果をあげるためのポイントを見ていきましょう。
レコメンドの精度
レコメンドの精度を上げるためには、顧客の興味・関心の高い商品をお薦めすることが有効です。
一般的には「パーソナルレコメンド」を利用することで精度を上げることが可能ですが、さらにその顧客の興味・関心が高いカテゴリで絞ると、よりパーソナライズされた商品を提示することができます。
一方で、1つのメール内に複数のレコメンド枠を設け、異なるアルゴリズムを利用することで顧客に新たな気付きを与え、興味・関心を引くこともできます。例えば、「パーソナル」と「ランキング」の2枠を設け、別々の商品をお薦めすることで、顧客の関心に対するレコメンドの精度をカバーするだけでなくCTAの効果を高めることも可能です。
幅広いレコメンドタイプを活用することで、より顧客に寄り添った情報提供をすることができます。
最新情報の担保
EC/小売り業の企業においてよく聞かれる例として、レコメンドした商品が在庫切れになっているということがあります。これでは、顧客がクリックしても購買につながらないだけでなく、商品提供側への信頼がダウンします。これを回避するためには、あらかじめ在庫切れ商品の特定と非表示設定のロジックが必要です。Webサイトとの連携も考慮する必要があります。
メールのレイアウト
パーソナライズされたものが求められているため、メールのレイアウトにも工夫が必要です。送信側が知らせたいキャンペーンやお知らせをメール上部に、レコメンドを下部に表示するよりも、顧客の興味のある情報をレコメンドでメール上部に配置する、またレコメンド枠をメール内で大きくとる方が、クリック率が高くなる傾向があります。

さらに、メール表示にはモバイルフレンドリーが求められます。スマホなどで表示した時に、レコメンドされる商品やコンテンツが、縦にきちんと並んだ形で表示されることで、より訴求力が高まります。

レコメンド商品(アイテム)については、画像による表示効果でクリック率が大きく変わるため、例えば「写真のみで価格を表示しない」、「分かりやすい画像の表示」などの工夫もあるとよいでしょう。
顧客に最適なコンテンツにするために、ターゲットとなる顧客の特性をイメージしながらメール全体の内容を準備しておきます。
配信後の効果測定
メール配信後は、お薦め商品やコンテンツのクリック率などを分析することが大切です。配信メールが開封された率、URLクリック率、CV率などが指標となります。メルマガコンテンツ、レコメンドの内容や配置を検討し、よりよいものにチューニングすることで効果が持続します。
トランザクションメール・フォローメールでのレコメンド
ECサイトにおける注文確認メールや入金確認メール、商品発送メールといった自動通知メールは、一般のメルマガと比較して開封率が高いとされています。そこで、このようなトランザクションメールにレコメンド枠を設けるという方法もあります。
また、気に入った商品をカートに入れて結局購入しなかった場合に送る、いわゆるかご落ちメールも開封率やCV率が高くなります。かご落ちメールを送信後に、セグメントにあわせて関連商品のメール、人気商品のメールなど異なるアルゴリズムでメールを送ることもできます。
効果の出るレコメンドメール利用事例
当社で実施したレコメンドメールを利用した事例をいくつかご紹介します。
一斉配信メールから、レコメンドを利用したメールに変更した、求人サイトを運営するA社の例を紹介します。
これまでは、全員に同じ求人情報を配信するご案内方法でしたが、レコメンドを取り入れることで、それぞれの興味・関心にあわせた求人をお薦めの求人としてメールで訴求するようにしました。結果、通常のメルマガに比べ2倍以上の応募を獲得しました。

また消費財メーカB社では、リピート購入する顧客の購入サイクルにあわせてアプローチを行っています。1通目のメールに反応しサイト訪問した顧客に対して、直近の興味にあわせたレコメンドメールを送ったところ、最初のアプローチメールに反応した顧客の20%がサイトへの再訪問を果たしています。
生鮮食品サイトを運営するP社では、入会から利用継続の促進を目指しています。そこでステップメールの実施と会員向けのレコメンドメールの送信を行ったところ、8週間以上の利用継続において前月比120%を達成しました。
まとめ
一人ひとりにカスタマイズされた情報を求める顧客に対し、一斉配信ではなくパーソナライズされた情報提供を行うことは、顧客にとってだけでなく、提供する企業にとっても効果を期待できます。
閲覧履歴・行動履歴を元にしたレコメンドと顧客タイミングにあわせたメール配信により、クロスセル・アップセルによる売上アップやリピート率の向上、さらにかご落ちなどの売上機会や出会いの損失の低減も可能です。
レコメンドメールの効果をあげながら、顧客一人ひとりにあわせた最適な情報発信につなげるヒントになれば幸いです。
アクティブコアでは、特許取得のレコメンドをはじめ、50種類以上のレコメンドアルゴリズムを所有しています。メールだけでなく、LINEを利用したレコメンドにも対応しています。
レコメンドの活用やメールマーケティングの課題でお悩みがあれば、是非お気軽にお問い合わせください。
(※なお、コンテンツレコメンドについてはこちらでメリットや活用例を紹介しています)
※参照: How To Use Personalized Product Recommendations in Email to Increase CTR By 330%
https://www.smartmail.io/resources/how-to-use-personalized-product-recommendations-in-email-to-increase-conversions-by-15-or-more

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